- Lily - 「お前なんか死んじまえ」 命の重さも知らずに 感情のまんまを言葉にしては 沢山の人を傷つけた 乱暴で粗末な孤独な自分の姿  誰かの瞳の中にしか写らなかったから 鏡と向き合っても気付けなかった 毎日が憂鬱で退屈だった 努力も汗も涙も興味も何もない あらゆる事象に冷め 空っぽな現状と漠然と流れる時に揶揄われ  心の奥底から沸いてくる苛々に苛々していた  他愛ない事で笑う連中を見て笑えなかった 愚にも付かない事で感動する連中を見て感動できなかった 下らない事で情熱注ぐ連中を見て情熱を注げなかった 「お前らなんか死んじまえ」 命の重さも知らずに 感情のまんまを言葉にしては 沢山の人を傷つけた 軽薄で軽率な孤独な自分の姿 誰かの瞳の中にしか写らなかったから 鏡と向き合っても気付けなかった 落莫とした田舎の景色や嗅ぎ飽きた自然の香り  婆さん 親父 御袋 兄貴の背中 こんな場所に何がある  何が残る 高が知れてる 不便と無粋に囲まれた町  とっとと出て行きたくて仕方なかった 東京なんて古い  俺はニューヨークに行くと嘯いてた  民主党政権時代 映画白夜行に3DS AKBにはやぶさ運行開始  アジアカップ優勝にタイガーマスク運動 流行りや時事が擦り抜けてった 想像もしなかった その力は大地を凄まじく揺すり  海を荒れ狂わせ 夥しい命をすっていった・・・   「嘘だろ本当に死んじまった」 命の重さも知らずに 感情のまんまを言葉にしては 沢山の人を傷つけた 謝る事すらもうできない孤独な自分の姿 遺体の瞳の中に初めて自分の姿が見えた  鏡と向き合ってようやく気付けた 一体俺は何をしていたんだろう  自分の生身以外 全て失った 御袋の姉の叔母に引き取られ神奈川へ  子供がいない叔母夫婦は愛想も常識もない こんな俺にとても優しかった  あの地獄を忘れられるのならば何でもいい 体を動かし汗をかきたかった  牛乳配達をしながらボクシングに打ち込んだ 充実とも必死ともとれる汗を拭いながら 吐く息は白く  それでも日向は少し暖かい季節 いつだって別れは突然で非情だ 携帯 PC TV 新聞 ラジオ あらゆるメディア 情報を避け 触れるのも触れられるのも拒み続け 気が付けばあの日から7年 時計の針を止め続けた 孤独な自分の姿  一度も泣かなかった…違う 泣けなかったんだ  泣いてしまったら現実を認めるみたいで嫌だったんだ でも 俺はきっと泣きたかったんだ ずっと泣きたかった そんな溜まりに溜まった感情が溢れ出した  というより壊れたと言った方が合ってる  涙にくれ 涙に沈み 涙に迷う 語る代わりに止まらない涙が物語る  振り返えると孤独に取り付かれている時  必ず誰かが傍にいてくれた そうだよ傍にいてくれてたんだよ  想像もしなかった その力は何の前触れもなく  いかなる振る舞いや時間も関係なく 温かい命をすっていった・・・ 手遅れな思い出と引き換えに  命の重さを知り仁慈を知るなんてさ 俺はどんだけ愚かなんだよ  神様は信じられない 仮にいたとしてもこの通りさ 程なく叔父もIHDで斃れた叔母の後を追いかけて逝ってしまった 言わなければいけない相手に感謝の言葉を一度も言わなかったこの後悔と 本当の孤独を抱え 再び明日を歩き出す事なんかもうできないよ  桜の時期 また百合を生ける もう無理だよ もう無理だよ